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普通折込パイ生地と、逆折込パイ生地 ② - 折込回数の違い -

普通折込パイ生地と、逆折込パイ生地 ① - 構造の違い -から

随分間があいてしまいましたが・・・

昨日の記事でパイ生地を折り込む回数についてふれたので

本日は、それぞれの生地における

折込回数の違いについて書いてみようと思います

 

一般的に、

普通折込パイ生地では三つ折りを6回繰り返して層を作ります

これについては私の知る限り、

どのレシピでも「6回」とされていて、

理由なく増減することは無いようです

 

即席パイ生地と逆折込パイ生地においては

レシピによって折込回数にばらつきがあるんですが

私の場合、

即席パイ生地では、三つ折りを1回、四つ折りを3回行っています

これは弓田亨氏の

一人で学べるザックサクッザクッ!押しよせるおいしさのパイ

を参考にしています

 

そして、

逆折込パイ生地では四つ折りを2回、三つ折りを1回行っています

これは青木定治氏のレシピ

ピエール・エルメ氏のものとして公開されているレシピの手順を

参考にしています

 

 

折込回数が変わると、

その結果として

出来上がる層の数が変わってきます

 

 

普通折込パイ生地では、三つ折りを繰り返すので

折り込むごとに3倍ずつ増えていくことになります

合計6回ということは

3×3×3×3×3×3 、つまり3の6乗、729層が出来上がることになります

ただし、ここで出来上がる729層はバターの層になります

焼き上がった際に層として残る小麦粉生地部分は

で出しのバターを包んでいる時点で2層になっていますから

常にバターの層+1となり

パイ生地としては730層になっている、というのが正解ですね

 

即席パイ生地の場合は、

もともとがランダムな層から成っているので

単純計算が難しいのですが

打ち粉を中心に形成される層をメインにすると

3×4×4×4で192層になるかと思います

ただし、この生地も普通折込同様に+1層足すのが妥当でしょう

と、いうことで弓田式では193層が出来上がることになるかと思います

 

最後に、逆折込パイ生地の層を考えてみます

同様に計算すると

4×4×3で48層

(」゚ロ゚)」 すくなっ!!

ただ、考えようによっては外側のバター生地に練り込んだ小麦粉と

成形の際に加わる打ち粉によって形成される層も

パイ生地としての1層に考えることができるのかもしれません

そうなると・・・・・

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前回も登場した断面図ですが

黒い部分が小麦粉生地

黄色がバター生地

縞模様が打ち粉部分です

 

この図で考えると、四つ折り1回で9層、できていますね

もう一度四つ折りで、×9、

ラストが三つ折り1回で、×7、されることになります

9×9×7で567層(?)出来上がる、と言えるかもしれません

もう、ここまで来ると複雑すぎて正解かどうか自信ないですけど (´Д`) =3

 

逆折込パイ生地は、

うまみの強さや食感の持続度から

パティシエの支持を集めているようですが

「折込回数が少なくて済む」という作業工程上の利点から

逆折込を選ぶパティシエも少なくないようです

 

 

さて、

パイの層は

多ければ多いほうが良い、と思われがちですが

必ずしもそうとは言い切れません

 

層が増えれば増えるほど

バター生地と小麦粉生地の境界はあいまいになり

ざっくりとしたパイらしい食感は消えていきます

 

かといって、

層が少なすぎても

噛みごたえがありつつも、はらはらともろく

ボリュームのあるパイの層は、出来上がらないわけです

 

折込回数と焼成後の生地について、

とてもわかりやすいブログ記事を見つけたのでご紹介しておきます

teteno.exblog.jp

 

経験に裏付けされた折込回数というのは

それぞれの手法におけるベストな層の量である、と

言えると思います

 

ただ、これら三種の製法は、全て「製パイ技法」であり

焼成後に求められるのは、

すべて同じ「パイとしての美味しさ」なわけです

では、同じ目的に向かいつつも、

なぜこれほどに折込回数が変わってくるのか

 

それには製法の違いに起因する

それぞれの生地の個性が関係してきます

 

次回は、

折込回数に違いが出る理由を考察してみたいと思います

 

 

以下、参考までに、

三種の手法で私が作ったパイの写真をご覧いただくと・・・

 

普通折込パイ生地

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即席パイ生地

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逆折込パイ生地

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これらの写真は

以前行った三種の生地で作ったガレット・デ・ロワの食べ比べ会の際に

撮った写真です

 

それぞれの違いをうまく写真に撮れていないので、

ちょっと見た目だけでは分かりにくいですね・・・ 

でも、食べると全然違うんですよ!

言い訳になってませんが・・・・

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最近ではパイ生地の種類によって成形方法や焼成方法を変えているのですが

このときはほぼ同じ条件で成形・焼成したので

写真を撮っておくにはとても良い機会だったのですが・・・

後の祭りですねぇ・・・・・

 

ちなみに、この写真の、一番上(一番奥)のパイが逆折込です

いちばん折込回数の少ない逆折込が

いちばんボリュームのある層の立ち上がりであることが分かるかと思います

 

なぜ、逆折込パイ生地は派手にパイ生地が持ち上がるのか?

これにはもちろん理由があります

それについても、次の機会にお話しできると思います

たぶん・・・でも、いつになるかな?