「コロレ」別館

サイト「コロレ」のブログ出張所です

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蜂蜜と、マドレーヌ

マドレーヌのレシピには

蜂蜜を入れるものと、入れないものとがあります

 

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わたし的には

「蜂蜜が入ってこそ、マドレーヌ」

という思い込みがあったので、

むしろ、

「蜂蜜を入れないマドレーヌ・レシピ」があることに、びっくり!

だったりもしたんですが・・・・・

 

と、

言いますのも、

マドレーヌのレシピ、というのは

配合的にはカトル・カールと同じで、

(Quatre Quarts;4/4という意味のフランス語で、いわゆる「パウンドケーキ」)

おおむね

バター:小麦粉:卵:糖分=1:1:1:1

になっているんですよね

実際のマドレーヌは、この配合を基準にして、

パティシエごとのアレンジが加えられ、変化がつけられている感じです

 

私の思い込みとしては、

この配合のうち、

「糖分の何割かを蜂蜜に置き換えたもの」が、

「マドレーヌ」?

みたいな?

 

では、蜂蜜を入れるのと、入れないのとでは

仕上がりが、どう変わるのでしょう?

 

ちなみに

ここより先は、

蜂蜜が持つ特性から、推察しただけ

実証を伴わない、妄想劇場です

これらをご了承いただき、

軽ーく読み流していただければ幸いです

 

さて、本題です

 

マドレーヌに限らず、

焼き菓子というのは、その、おいしそうな「焼き色」がキモなわけですが、

この焼き色は、糖の加熱により引き起こされる「メイラード反応」という

化学変化によってつけられています

 

蜂蜜に多く含まれるブドウ糖と果糖は

このメイラード反応を起こしやすい二大糖分にあたるんですね

 

ラニュー糖の主成分である「ショ糖」に比べ、

低い温度でメイラード反応がおこるのだそうです 

 

簡潔にまとめると、

「蜂蜜を入れると、焼き色がつきやすくなる」

のです

 

マドレーヌは、

パウンドケーキに比べ、

平たく、こじんまりと焼かれることが多いため、

短い焼き時間で焼き色が付けられる、というのは

大変な利点になります

焼き時間が長ければ長いほど、水分が抜けていくので、

小さい焼き物は、長時間焼成すると、パサパサした仕上がりになってしまう

 

また、蜂蜜の主成分である「果糖」「ブドウ糖」は

「ショ糖」(グラニュー糖の主成分)に比べ、

吸湿性が高い、という性質もあります

 

このことから、 

「蜂蜜を甘味料に使うと、生地がしっとりする」

と、言えると思います

 

 さらに蜂蜜には、

「アミラーゼ」という、でんぷん分解酵素が含まれています

 

マドレーヌ生地において、アミラーゼは、

薄力粉に含まれる小麦でんぷんを、ブドウ糖に分解します

 

この変化は、生地のしっとり度を上げるとともに

素材同士の「なじみ」を進め、

焼成後の生地に、もっちり、むっちり、とした食感を

プラスしてくれるはずです

 

マドレーヌの生地は、

材料を合わせた後、数時間から一晩休ませるレシピが大半ですが

蜂蜜を配合した場合、この「寝かせる」作業は

大きな意味を持つことになります

 

ただし、この、アミラーゼによる変化は

蜂蜜の質にかなり左右されるようです

非加熱・無ろ過で作られる「生蜂蜜」以外は、

アミラーゼがきちんと働くか、アヤシイものも多いのだそう

 

また、仮に、アミラーゼが働いているとして

小麦粉でんぷんの分解が進みすぎると、

生地はおかゆ状に変化していくはずで、

焼成後もマドレーヌの体を成さなくなると思われます

 

これらの特性を生かすには

使用する量・寝かせる時間、ともに、加減が必要です

 

これ以外にも、

マドレーヌがホタテ貝の形に焼かれる理由にもあるように

「かつては、巡礼者に配られた」という逸話も持つことから

栄養価の高い蜂蜜を配合することで、

滋養を高める効果を狙ったのかなぁ?とか、

 

衛生環境が今より悪かった時代、

卵を多用するお菓子であるマドレーヌに

蜂蜜を加えることで、殺菌作用を狙ったのかなぁ?、とか。

半生状態の卵がクリームに使われる「サントノレ」などは

昔は命がけで食べていた、という話を、どこかで読んだことがあるんですよねー

 

マドレーヌに蜂蜜を配合する理由には

一筋縄ではいかない

「こだわり」が

あるように思えてなりません 

 

以上、ここまで書いたことは

成分分析や、焼き比べ等の実験を伴わない

机上の屁理屈ではありますが、

蜂蜜が持つ特性から推察するに

それほど的外れな意見ではなかろう、と

わたし的には思っています

 

と、いうことで、私は、 

マドレーヌには、蜂蜜を入れるべき !

という結論に達しました。

 

ちなみに、青木定治氏のレシピでは

栗の花のハチミツを使用されていました