『オレンジ・ピール』;作り方の、考察 -その①-
国産柑橘で挑んだ、
オレンジ・ピール作り
pour-les-petits.hatenablog.com
作り方は、
ネット上のレシピを適当にアレンジしてトライしました
オレンジ・ピール作りの全体の流れは、
何度か茹でこぼして、皮を軟らかく煮つつ、苦みを抜き、
仕上げに砂糖を入れて蜜煮にする
とまあ、わりと単純明快なのですが
それでも人によりこだわりがあるようで
作業の細かい部分は、意外に多様でした
いろんなレシピを見比べるのが、
大好きな、私
と、いうわけで、
次年度、よりよいオレンジ・ピール作りに励めるよう、
参考にさせていただいたレシピの考察を、
①下処理
②皮むき
③苦味抜き
④茹でこぼし
⑤「ワタ」の処理
⑥カット
⑦砂糖煮
⑧仕上げと保存
と、順を追ってまとめてみようと思います
私の理解の及ぶ範囲で、ですが・・・
本日は①から⑤について。
① 下処理
作業を始める前に、オレンジの皮を洗います
洗い方としては、
- タワシでこすり洗い
- タワシ+重層でこすり洗い
- タワシ+塩でこすり洗い
- 表面の果皮を、ごく薄く削り取る
等々の方法があります
これらは農薬云々への対策が主な目的だと思いますが、
柑橘の最表面には「苦みや灰汁がある」、という話もあり
丁寧に仕上げたい場合には押さえておきたい工程です
ただ、この後、数回の茹でこぼしを行いますし、
洗えば洗うほど味は抜けていくものだと思うので
私は軽く水洗いするのみで、終わらせています
② 皮むき
果肉から皮をはずします
オレンジ・ピール作りにおいて、
均等かつ美しく皮を剥くために推奨されているのは
『スマイルカット』と呼ばれる切り方で全体をカットし、
皮をはがすやり方です
ただ、このやり方だと
実の方まで切ってしまうことになります
個人的には実の方をカットしない方向で作業したかったので、
私はムッキーちゃんを利用して皮をむきました
以下、参考写真はレモン・ピールを作った時のものです
③ 苦味抜き
皮を水に浸けて、苦み抜きをします
柑橘の、特に、果皮表面には、
「ナリンギン」という苦み物質が多く含まれているんだそうです
剥いた皮を2~3時間、水にさらすことで
この「ナリンギン」を、大幅に除去することができるのだとか
多くのレシピで、
「剥いた皮を、一晩水に漬けておく」
という指示があるのは、このためです
ただし、この苦み物質の含まれる量は、
柑橘の種類によって異なります
夏みかんや八朔などは多め(苦め)、柚子は少なめ、等々
また、
この後の茹でこぼし作業でも、かなり苦味は抜けていきますし
むしろ、苦みを楽しみたいレシピなどもありますので、
「水に浸すか、浸さないか、(苦み抜きをするか、しないか)は、臨機応変に」
と結論しておきます
「苦み」への対処法はこちらのサイトがとても参考になります
⇒ 手作りジャム研究所・ジャム作りのノウハウ・2.柑橘類の苦味の対処法
④ 茹でこぼし
皮を茹でて、苦みを抜きつつ、やわらかく煮ます
苦味抜きが終わったら、
「茹でこぼし」作業を数回行います
「茹でこぼし」とは?⇒ ゆでこぼし | 基本のキ(調理編) | ハウス食品
茹でこぼし回数、茹で時間、ともに
レシピによって若干の違いがありますが、
おおむね
- 茹でこぼしは三回
- 茹で時間は合計30分
(茹で10分×3回、もしくは、沸騰後水替え×2回+茹で30分×1回、等々)
といったところでした
茹でこぼしの手順を変えることで、
仕上がりにどれほどの違いが出るのか・・・?
そのあたりを理論的に解説したレシピは見当たらなかったので
私は、わかりやすく、
『茹で時間10分×3回』
で、行いました
更には、
茹でこぼし一回につき、シナモンスティック1/2本・丁子5本・ローリエ1/2枚を
一緒に煮込むのがわたし流
柑橘の妙な臭み対策・・・のつもりですが、
効果のほどは、不明
茹でこぼしをする際の、あまり書かれていない注意点ですが
「できる限り少ない水の量で、グラグラさせすぎない」
を、私は心掛けています
理由は、
水の量が多すぎると風味が抜けすぎるし、
ピールがグラグラ踊ると、荷崩れを起こすので
ただ、
水の量が少ないと、皮が浮き上がるので、
重さのある落としぶたが必須になります
臭いのつかない金属性が便利
こちら↑は私の愛用品
「蒸し板、兼、落としぶた」として活躍中
蒸し板では珍しい直径16㎝用(実寸直径約15.5cm)で、使い勝手が◎!
ちなみに、
茹でこぼしの回数が増えるほど、
茹で時間が長くなるほど、
オレンジの皮の苦みが抜けるとともに、
風味も薄くなっていく、
というのはイメージできると思います
「皮をやわらかく煮る」
という部分については、
最後の工程(砂糖煮)で補えることなので、
クセの少ない柑橘の場合は
茹でこぼしの回数を減らしたり、
茹で時間を短縮したりするのもアリかなと思いました
最後に作った甘夏などがそのケースでした
この辺りは、
柑橘の種類や、目指す仕上がり具合によっても加減が変わります
実際の作業に当たっては、
茹でこぼしの都度、味見をして、確認するのがおススメです
⑤ 「ワタ」の処理
皮についている「ワタ」を除去します
果肉に最も近い部分の「ワタ」は、もろい繊維状で、
そのままにしておくと、茹でこぼしが進むにつれ、
どんどん煮崩れていきます
放置して最終工程(砂糖煮)まで進むと、
シロップにカスが混ざって、仕上がりが美しくないですし、
焦げ付きの原因にもなり得ますので、
早い段階で処理しておく必要があります
除去するタイミングは、
これも、レシピによってまちまちなんですが、
おススメは、「一回目の茹でこぼし後」
除去すべきもろい部分が確実にふやけているので、
作業しやすいように思います
ワタの除去方法にもいろいろあるようですが、
私は「トリミングナイフ」一択です
|
写真に写っているのはこちら↑のナイフ
本来は、骨から肉を外したり、肉の筋を取ったりするためのナイフみたいですが
刃先の形状が、ワタ除去の為にあつらえたかのような、神的使い心地!!
普通のご家庭でしたら、ペティナイフなど、
小さめで切れ味の鋭いナイフで処理すると、
仕上がりが美しく、おすすめです
ところで、
「ワタ」は、一般には
「苦みがあるので、取り除く」
とされていますけれども、
個人的にはこの意見には否定的です
「ワタの苦み」の具合は、
柑橘の種類や、個体によっても、差があるようなんですが、
「ぶっちゃけ、苦くないことの方が多いよねぇ・・・・・」
と、思っているのは、
どうやら、私だけではなかったようで・・・・・
「柑橘ピール」作りにおける、「ワタ」談義 ↓
【駄】柑橘ピールの白い部分(ワタの部分) : 発言小町 : YOMIURI ONLINE
「ワタには苦みがある」と言われたら、
「ワタは悪者!全部取らなくちゃ!!」
と思ってしまうのが普通だと思うんですが・・・・・
また、苦味の強さだけを比較するなら、
「③ 苦味抜き」でご紹介した苦味成分、「ナリンギン」が多く含まれる、
皮の表面、色が一番濃い部分の方が、断然強烈です
『むっちりとした噛みごたえのある、
軟らかめのピールに仕上げたい場合には
色のついた皮の外側部分よりも、むしろ、
ワタのほうが重要だよね!』
というのが、前述の掲示板での結論で、
この点について、私も激しく同意します
仕上げの砂糖煮を丁寧に行うと、
ワタの部分が、透き通ったゼリー状になり、
見た目、食べ応え、ともに、存在感のある仕上がりになる気がします
こんな感じ。↑
ちなみに、
「パート・ド・フリュイ」というハード・ゼリーは
果実ペーストをペクチンで固めて作られますが、
柑橘のワタには、このペクチンが豊富に含まれており、
仕上がりがゼリー状になる理由はこの辺りにあると思われます
ただ、
『ワタ』自体は、風味の薄い部分ですので、
多く残せばその分ピールとしての個性は弱まる気がしますし、
また、
実際に作業してみると、
ワタの部分を、たくさん残せる柑橘と、
そうでない柑橘とがありますので
この点については、結局のところ、
仕上がりのイメージに応じて、臨機応変に、
といったところでしょうか
私は、
オランジェットなど、そのまま食べることが前提のピールは
ワタを残し気味に処理し、
製菓副素材として使用する予定の分については
ギリギリまでワタを取り除く、
というように、
仕上がりを変えて作りました
さて、ここまでが下ごしらえの範疇です
次回は
- カット
- 砂糖煮
- 仕上げと保存
について、考察しておきたいと思います