知っているようで、知らない 『生クリーム』の、話
ロールケーキ作りに欠かせない、
『ホイップ・クリーム』
「家で泡立てたホイップって、なーんか、お店のと違うんだよねぇ~」
と感じている方、いらっしゃいませんか?
実は、我々が、
『ホイップ・クリーム』
と、呼んでいるものには、
いくつか種類があります
有名なところでは、
『動物性脂肪のもの』と『植物性脂肪のもの』
スーパーでよく見る、スジャータ・ホイップは植物性脂肪
この、
『ホイップ・クリームには「動物性脂肪」と「植物性脂肪」のものがある』、
という件については、
お菓子作りをしない方にも、わりと知られている話だと思います
では、
同じ『動物性脂肪』ベースのホイップ・クリームにも
色々と違いがある、
というのは、ご存知ですか?
具体的な商品を挙げると、
コレ↓
と、
コレ↓
の、違いです。
いずれも動物性脂肪分45%の商品ですが、
上の商品は、
下の商品は、
どちらも普段、なんとなく、
『生クリーム』、と呼んじゃってる商品なんですが
「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」の分類によると・・・・・
「種類別名称;乳等を主要原料とする食品」
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⇒ 明治北海道十勝純乳脂45 200ml|商品情報|株式会社 明治
「種類別名称;クリーム(乳製品)」
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⇒ 中沢フレッシュクリーム45%(200ml) - 製品紹介 - NAKAZAWA
同じ動物性脂肪ベースの「ホイップ用クリーム」ではありますが、
まったく分類の異なる商品なんですね。
本日は、この、
知っているようで、知らない、
『生クリーム』の、話。
結局のところ、
「クリーム(乳製品)」と
「純乳脂乳主原ホイップ(乳等を主要原料とする食品)」との違いは
「生(き)のまま(無添加)」か、
「加工品(添加物使用)」か、
という点につきます
生のままの生クリームは、
〇 無添加で安心
〇 風味・コク・口どけが最高
である反面、
✕ 消費期限が短い(例として、ナカザワフレッシュクリームの場合、製造日後15日)
✕ 未開封でも分離しやすい(冷蔵庫の開閉の振動ですら分離の原因になるほど、デリケート)
✕ 泡立て加減の調整が難しい(ぶっちゃけ、失敗して、分離しやすい)
等々、流通・消費の際のデメリットが多くあります
この生クリームのマイナス面を
添加物を加えることで克服したのが純乳脂乳主原ホイップです
純乳脂乳主原ホイップは、
〇 消費期限が比較的長め (例として、十勝純乳脂の場合、製造日後29日)
〇 消費期限内&未開封であれば、まず、分離はしない
〇 生クリームに比べると、泡立ての調整がしやすい
と、傷みにくいものを長く売りたい販売者にも、
使いやすさ(失敗しづらい)を求める消費者にも、
メリットが大きい商品だと言えます
しかし、その一方で
✕ 乳化剤・PH調整剤・安定剤などの添加物が使用されている
✕ 口どけが悪い
というデメリットを、抱えているのです
この二つは、例えるなら、
『濃縮果汁還元の果汁100%ジュース』と、
『絞りたての果汁100%フレッシュ生ジュース』との関係に
似ていると思います
両者は共に、『果汁100%』を冠するジュースですが、
濃縮果汁還元のジュースは、
どうあがいても、
フレッシュジュースにはかなわない。
同様に、
「風味、口どけ、コク」に代表される
『生クリーム』にしか表現できない『おいしさ』.-.*+.'.* には、
生クリームが持つあらゆるデメリットを
補って余りある『価値』がある
ところが、
スーパーの商品棚を見渡すと、
先にご紹介した
明治 北海道十勝純乳脂45 生クリーム配合<ホイップ>を筆頭に、
こんなの↓や・・・・・
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⇒ フレッシュ 北海道産生クリーム使用 | 商品のご案内 | 雪印メグミルク
種類別名称;乳等を主要原料とする食品
こんなの↓
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⇒ スジャータ めいらくグループ 公式│純乳脂40
種類別名称;乳等を主要原料とする食品
そして、これ↓も
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⇒ 森永フレッシュ 純乳脂肪 | デザート | 商品紹介 | 森永乳業株式会社
種類別名称;乳等を主要原料とする食品
目につく銘柄は、ほぼ、
『乳等を主原料とする食品』で、
ホンモノの生クリームではない、
んですね
そして、これらの乳主原商品のパッケージには、
『純乳脂』とか、『北海道』とか、
『生クリーム配合』とか、『生クリームのコクとうまみ』とか、
紛らわしい表現がてんこ盛りで、
知識が乏しい消費者は、
本物の生クリームとの違いを意識することなく、
ついついだまされて手に取ってしまいませんか?
ちなみに、
うちの近所のスーパーで購入可能な唯一のホンモノは
こちら↓の商品
ただ、乳脂肪分35%のなので、
これまで積極的に購入することはなかった
そこで、冒頭の質問です。
「家で泡立てたホイップって、
なーんか、お店のと違うんだよねぇ~」
答えはたぶん、こうです
『それは、ホンモノの生クリームを使っていないから』
スーパーに並ぶ、高脂肪のフレッシュ生クリームは、
お値段が、高め。
更に、上にも書いたとおり、
本物の生クリームは非常にデリケートで、
その取扱いには知識と技術が必要。
店頭での取り扱いが雑だと、その時点で分離している可能性も、アリ
となると、気軽には手を出しづらい商品かもしれません
ですが、その味わいには、
それらのデメリットを超える充分な価値があります
『パティスリーのケーキとは、なにかが、違う』と、感じた方は、ぜひ、
『本物の生クリーム』を使ってみてください!!!
さて、
こんな話を書いている私ではありますが、
今回話題にした、『生クリームの違い』を知ったのは、
わりと最近のことです
製菓に詳しい方から見たら、あたりまえ過ぎるお話なのかもしれませんが、
もしかしたら、
私と同じように、
『なんか、違う』
と、 感じつつも、回答が得られていない方がいらっしゃるかもしれませんので
恥を忍んで記事にしてみました
「生クリーム」について、
もっと詳しく知りたい方には、
タカナシ乳業のこちらのサイト↓がおススメです
このサイト中の生クリーム配合ホイップについての記述が、ツボ。
脂肪分として乳脂肪が使われており、クリームを使用する際の使い勝手がよくなるように乳化剤や安定剤などの添加物を使用した商品です。
『生クリーム100%使用』とパッケージと表示されていても、乳化剤や安定剤が使用されている場合は、使用している脂肪がすべて乳脂肪であるというだけで種類別「クリーム」ではありません。
またひとつ、『本物 』を知ることができました。