そもそも、なぜ、『表巻きロールケーキ』は、「割れやすい」のか
引き続き、
表巻きロールケーキに起こりがちな、トラブルの話です
今回の話題は、表題のとおり
そもそも、なぜ、『表巻きロールケーキ』は、「割れやすい」のか ?
と、いうことについて
共立て、別立てに限らず、
『表巻き』は、『裏巻き』に比べ、割れやすい
というのが、私の持論です
なぜ、そう思うのかというと、
ロールケーキ用シート生地の
表側に近い面(焼き色がつく面)と、裏側に近い面(型側の面)では
生地のキメが違うからです
これは、
気泡の割れやすいココア入りの生地を焼いてみると
しみじみと実感する、事実です
こちらの、共立てで作った、ココア入りのシート生地・・・・・
焼き色をはがすと、見えてくるスポンジ生地上面はこんな感じ
対する下面、
型側の敷き紙をはがすと現れるのが、このような生地
並べてみると、一目瞭然
キメが全然違うのです
一枚のシート生地の表側と裏側が、コレ↑です
ちなみに、この写真の場合、
キメが細かい右側の面を外側にして巻く方が、割れにくくなります
なぜ、こんなことが起こるのでしょう?
上手な人が作れば、
こんな事態には陥らないのかも、しれないですが・・・
スポンジ生地では、卵を泡だてて気泡をつくりますが
気泡の中身=空気=気体であることが、
生地の上下でキメが変わる理由だと、私は思っています
そこで考えついたのは、
- (焼成前の時点ですでに)大きな気泡は生地に押し出されて、表面に集まりやすい
- 焼成を開始すると、生地の温度が上昇し、気泡が更に上ってくる
気体の体積は温度上昇で大きくなるため
- 生地表面に集まった気泡が、生地温度の上昇とともに、割れて大きくなる
温度が上がると気泡は割れやすくなるため
- 対する型側の生地には、細かい気泡のみが残り、それらが早いうちに焼成され、固体化するので、結果としてキメの細かい生地に焼き上がる
と、
こんな感じで、
このうちのどれか、もしくは、いくつかが当てはまって、
上面は大きくばらつきのある気泡の跡が残るため、キメが粗く
下面はサイズの揃った小さな気泡の状態で焼き上がるため、キメが細かく
なるのではないかなと。
その結果が、上の写真のような
キメの違いに至るのではないかと、考えたのです
今回、参考写真に使用した生地は、
気泡が潰れやすいことで有名な「ココアパウダー入り」なので、
特別、生地の上下での差が付きやすい気はします
ですので、シンプルな配合の生地の場合は、
これほどの違いは出ないかもしれません
ただ、
焼成の原理は同じなので、
どのような生地でも、
多少はこのような現象が起こっていると、言えると思っています
そして、わたし的には、このことこそが、
表巻きの難易度を上げる大きな原因になっていると思うのです
キメの違う二つの面を
それぞれ表側にして、巻き上げるイメージを描いてみました
巻き上げ時にかかる、生地を曲げる力(⇒ 外側の生地を引っ張る力)に対し、
キメの粗い側は弱く、キメの細かい側は強いことが
イメージできるのではないでしょうか
脳内実験によるイメージ図だけでここまで言い切るのも、
若干気が引けるものはありますが・・・・・
「キメの違い」という視点から、ロールケーキ作りを再考してみると、
改めて「割らない」ための注意点が見えてくるように思います
とりあえず、今の私の腕では、
これだけキメの違うココア生地で、表巻きロールケーキを作るのは
「ちょっとムリ」という結論に至りましたが、
いや、ココア生地での表巻きにはこだわってないから、いいんですけども。(←負け惜しみ)
プレーンな生地であれば、
工夫次第で表巻きが可能であることがわかっています
前回は
割らないための生地作りについて調べてみましたが・・・
pour-les-petits.hatenablog.com
今後は、
「割らないための焼成」
「割らないための成型(巻き上げ)方法」
などについて、考えていきたいと思います